基幹システム(ERP)とは?注目のERPシステム20選
企業の規模に関わらず、財務状況や人事、また商品に関して今すぐ知りたいのに、システムが別々なので自分には扱えないといった悩みはよくあります。
また、部門・部署ごとに異なるシステムを用いている場合、知りたい情報にすぐアクセスできないというストレスもあるでしょう。
日本以外の海外拠点や海外子会社の活動・運営状況を把握するのが難しいという問題もあります。
この悩みを解決するのが、ERPです。
目次
- ERP=統合基幹業務システムとは
- ERP導入のメリット
- 情報系システムと基幹システムの違い
- ERPのパッケージの種類
- ERPでマイナンバーの管理も可能
- ERPはMESもカバーする?
- 人気のERPシステム
- 中小企業向けERPシステム
- 業界・部門に特化したERPシステム
ERP=統合基幹業務システムとは
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「統合基幹業務システム」と訳されます。
企業における業務は部門や部署ごとに分かれており、場合によっては異なるシステムを用いることもあります。部門・部署ごとに管理方法が異なると、総合的なデータの活用が難しい場合もあります。ERPは業務システムを一つにまとめ、一括管理を行うことで業務効率化を図るためのシステムです。
ERPの主な機能
ERPはパッケージとして販売されており、パッケージによって利用できるシステムは異なりますが、ERPには以下の機能があります。
- 製造管理
- 売上管理
- 在庫管理
- 納期管理
- 経理
- 予算管理
- 人事管理
それぞれ別のシステムとして用いられているものを、統合的に使用することができます。
以下では、ERPの種類や特徴などについて触れていきたいと思います。
ERP導入のメリット
ERPを導入することで、複数のメリットを得ることができるでしょう。
データの統合管理
管理システムをひとまとめにして活用できるということは、データも一括で管理することができるということです。データ整理の際、管理システムごとに出力し直す必要はありません。
業務の効率化・人件費の削減
データを一括管理することができれば、そのぶん処理の時間をカットしデータ分析のための時間に割くことができます。多くの人員を必要としない運営が可能となるでしょう。
情報系システムと基幹システムの違い
基幹システムと並行して語られるのが、情報系システムです。これはERPとは違い、メールソフトや社内SNSなど、社内外での情報のやり取りそのものを支援するためのシステムを指しています。
基幹システムは情報の管理、情報系システムは情報のやり取りを取り扱うという違いがあります。
システムが停止すると困るのはERP
ちなみにどちらのシステムも重要な役割を果たすのには間違いありませんが、基幹システムの方がシステムがダウンした時のダメージは大きいでしょう。
蓄積してきたデータに触れることができなくなり、データを保管する場所もなくなってしまうので、業務の遂行に大きな遅れが出てしまうことが予想されるためです。
逆に情報系システムであればデータの蓄積は担っていないので、システムがダウンしても個人の取り組み次第で業務の遂行が可能といえます。
ERPのパッケージの種類
ERPにはオンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられます。
オンプレミス型の特徴
オンプレミス型は自社サーバを用意し社内でデータやシステム管理を行う従来のERPです。システム保守など導入から運用まで全てを自社で行うことができるため、第三者のミスやアクシデントによってシステムに問題が発生するリスクは少なく、やり方によっては最も安全な導入方法です。
しかしデメリットとしてあげられるのは、やはりコストの問題です。資本力のある大手企業であればオンプレミス型の方がコストパフォーマンスも安全性も高いシステムを導入できることも多いのですが、中小規模の事業であればオンプレミス型は初期費用や保守運用コストが高くついてしまい、期待しているほどのパフォーマンスが得られない可能性もあります。
そこでクラウド型の登場です。クラウド型は社外でデータやシステム保守を行う近年主流となっているERPです。
ERPをクラウドで利用するメリット
クラウド形式のERPであれば、
- 導入にかかる期間もオンプレミス型に比べると、短い期間でシステム利用することができる
- 保守管理のために人員を割かなくて良い
- バージョンアップが自動的に行われる
- 異なるデバイスからでもインターネット環境があれば場所を問わずにどこからでもアクセスできる
といった様々なメリットを享受することができます。
クラウド型ERPのデメリット
メリットが目立つ一方、クラウドERPには以下のようなデメリットもあります。
- インターネット環境がないところでは利用ができない
- データを自社サーバではなくクラウド上に置くことになるため、セキュリティ面で不安
インターネット回線の接続が不安定だと、日常業務に多大な影響が出ます。そのためネット回線のインフラ整備に気を払う必要があります。
これらのデメリットをしっかり理解した上でクラウド型ERPを選ぶ必要があります。
ERPでマイナンバーの管理も可能
社会保障・税に関して一元管理を行うマイナンバー制度が始まり、従業員のマイナンバー管理をどうしたらよいかお悩みの方もいらっしゃるでしょう。会社の規模が大きくなるにつれマイナンバーの管理が大変になります。新たに入社する従業員からマイナンバーを提出してもらった後、在職中は適宜活用し、退職後は所定の保存期間後にマイナンバー情報の削除を行わなければいけません。
これらの管理を人力で行うことは非常に手間がかかる上に、ヌケ・モレの可能性もあります。
ERPでは、従業員のマイナンバーを管理する機能を揃えているものもあります。
ERPはMESもカバーする?
製造の管理を行うMESというシステムがあります。MESはManufacturing Execution System(製造実行システム)の略です。
製造の現場において品質、コスト、納期を改善もしくは維持すべきところは維持するために用いられるシステムです。ERPは業務の一元管理システムであると述べましたが、端的に言うとERPはMESをカバーしていません。
ERPとMESは成り立ちが違うので、一元管理は行えないということを知っておかなくてはなりません。
人気のERPシステム
1:NetSuite
世界No.1を掲げるこちらのシステムは、世界で4万を超える企業や組織での導入実績が大きなポイントです。導入企業が多いということは、それだけ多様な分野の業種に導入され、違和感なく利用することができる汎用性の高さを持っているということです。
これまでERPを導入したことがない企業でも使いこなせる可能性は極めて高いと言えるでしょう。
2:Odoo
海外の企業が提供するサービスですが、日本でも利用者が多く見られるほどのグローバルなサービスとなっているだけあり、マネジメントを一元管理して効率化を図れる汎用性の高さが特徴です。
全世界で5万を超える企業での導入事例がその使い勝手の高さを体現していると言えるでしょう。
3:SAP ERP/ SAP for Business All in One/ SAP Business By Design
ドイツのソフトウェア会社であるSAPが販売しているSAP ERP/ SAP for Business All in One。ERPを世界で初めて販売したのはSAPのため、長年利用されてきた実績があります。大企業、中堅企業、中小企業向けに豊富なERPパッケージを販売しています。
クラウド型のSAP Business By Designは会計管理、人事管理、購買管理、プロジェクト管理、生産管理、生産管理、在庫管理、販売管理を利用することができます。すでにSAPのオンプレミスを利用していても、クラウド型のSAP Business By Designと連携して利用することが可能です。導入期間も比較的短期間で導入することができます。
SAP ERP および デジタルコア
GRANDITの記事によると、海外・日本国内で一番シェアされているERPはSAPでした(2015年)。SAPのシェアは海外では6%、日本国内だと20%。海外で一番利用されている割にはシェア率が低いように感じますが、様々なERPが利用されているためERPパッケージ同士での競争が激しいことがわかります。
参考:GRANDIT ERPのシェアを徹底調査
https://products.sint.c.jp/grandit/blog/erp-market-share.html
4:Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365はMicrosoftが提供しているERPパッケージ。一番の特徴は世界中で用いられているERPパッケージのため、どの海外拠点で利用するにしてもサポートが充実している点です。Microsoft Officeの各種機能やWindowsの画面デザインや操作が似ているため、これに慣れているユーザの場合操作がしやすく、特にOutlookからの連携がしやすい点が特徴的です。
オンライン(クラウド)かオンプレミス(自社設置型)で利用することができます。
5:Oracle ERP Cloud
Oracleが販売しているOracle ERP Cloudはクラウド型のERP。Oracle ERP Cloudの特徴は以下の4つがあります。
- 「見える化」…海外拠点・海外子会社も含め、タイムリーな活動内容を知ることができる。
- 「イノベーション」…9ヶ月かかるレガシーERPと比べ、Oracle ERP Cloud は10週間で導入可能。
- 「機能別導入」…改善したい業務や成果が出そうな業務に適した機能だけを導入可能。
- 「コスト削減」…Oracle ERP CloudはレガシーERPと比較して最大8分の1のコスト削減が可能。
6:GRANDITのERP
GRANDITはマイナンバーに対応しています。すでにGRANDITのERPを利用している、もしくはこれから導入予定の企業は無償で利用することができます。
7:奉行V ERP10
OBCが提供しているERPパッケージの奉行V ERP10。
利用できる機能としては会計、人事労務、販売管理、企業業務、ミドルウェアがあります。
奉行Vの特徴は、最新版が出るたびに自動的にアップデートされる点です。制度改正や最新のIT対応、機能強化に対応するうえに追加コストは発生しないため、長い期間利用することができます。
中小企業向けERPシステム
8:クラウドERP freee
中堅企業向けERPシステムを自負するfreeeは、ERPシステム以外にも様々なサービスを提供しています。
個人向け確定申告ソフトやマイナンバー管理ソフトなども手掛けており、ERPシステムを含むいずれのソフトも新進気鋭の企業やフリーランサーに採用されていることから、国内では非常に注目度の高い企業であることは間違い無いでしょう。
バックオフィス業務は全て任せてしまいたいシステムの一つです。
9:ジョブマネ
ジョブマネもfreeeと同様、ベンチャー企業に向けたERPシステムの提供を掲げるサービスです。初期費用0円、初月利用料無料という低いコストでの導入や、その後の運用も業界の中ではリーズナブルな料金で利用できるところがポイントとなっています。
小規模組織での運用であればオススメのサービスと言えます。
10:クラウドERP ZAC
プロジェクトの収支を見える化する、がキャッチコピーのこのERPはクラウド方式であらゆるマネジメント業務をカバーしてくれる頼もしいサービスです。
強力なプロジェクト管理機能や管理会計レポート機能、経営モニタリング機能など、単に管理業務を遂行するだけでなく、経営そのもののサポートにも徹してくれるのがポイントです。
11:FVCプランナー
こちらは中小企業診断士によって設計された小規模事業での利用に特化したシステム。必要と思われる機能はオールインワンとなっており、一括管理が可能です。
スマホからの管理もできるので、省スペースでの業務遂行にも適しています。
12:CAM MACS
中小規模向けのスモールスケールと、業務拡大に最適なカスタマイズ性能を誇る通常タイプの二種類から選べるCAM MACSのERPシステムは、コストパフォーマンスに優れており、業種も選ばず導入のハードルも低いという使いやすさが特徴となっています。
13:Plaza-i
経営とITの架け橋となってくれるというPlaza-iは、中堅企業に基幹システムを提供し続けてきた4半世紀の歴史が大きな売りです。IT業界では数少ない数十年の知恵と知識を生かし、ユーザーの問題解決に大きく貢献してくれます。
14:OBIC7
クラウド管理システムのOBIC7は、会計を中心とする基幹システムに付与していく形で統合管理を実現してくれる頼もしいシステムです。
ラインナップも豊富で、人事や財務など各部門に応じたシステムを提供しています。
15:ALL-IN
日経新聞などのメディアにも登場するALL-INは、新進気鋭のベンチャー向けERPシステムを提供しています。
ITリテラシーが低くとも使いこなせるシンプルな設計が魅力で、エンジニアだけでなく現場の業務担当者にも使いやすいシステムを導入することができるでしょう。
業界・部門に特化したERPシステム
16:FutureStage
FutureStageは日立の提供する生産管理システムです。製造・流通業に特化したシステムを提供し、約30年の歴史が生んだこだわりの機能進化が現場の大きな助けとなってくれることでしょう。
17:Ross ERP
Ross ERPは食品・化学業界に特化した統合基幹システムです。業界に特化した基幹システムは汎用性には欠けるものの、その業種に特化していることでそのままサービスを利用するだけでも大きな業務効率化が期待できる即効性が魅力と言えるでしょう。
18:ワークスアプリケーションズのERPパッケージ「COMPANY」
My Number Keeping Systemでマイナンバーの管理を行うことができます。
すでに同社のCOMPANYシリーズ(COMPANY人事・給与、COMPANY Web Service、COMPANY Assets Management, COMPANY Business Management)、My Number Operation Service(MOS)を利用している企業であれば、無料で利用することができます。
19:Reforma PSA
クリエイティブ業に特化したサービスを提供するというこちらのシステムですが、IT/Web/広告に特化したシステムで業務効率の向上を図ったり、企業の成長に合わせたサービス利用など、使い勝手とコストパフォーマンスの良さで注目を集めています。
すでに活用プランが決まっているという人にとってはよきパートナーとなれるサービスと言えそうです。
20:iDempiere
こちらのシステムは一般的なものとは異なり、オープンソースであることが大きな特徴です。業務用アプリケーションのフレームワークとしての活躍が期待されており、各企業にあったアプリケーションの開発に大きな役割を果たします。
業務が特殊でパッケージ販売されているものでは効率が悪い、という場合はこちらの導入を検討してみると良いでしょう。
まとめ
以上、業務を一元管理するERPについてご説明しました。
クラウド型のERPの場合、デバイスとインターネット環境さえ整っていれば、比較的短期間で導入できる点やオンプレミス型と比較してかかるコストが低い点、システムの保守管理を行わなくていい点などをご紹介しました。
自社の規模やメリットやデメリットを理解したうえで、業務の効率化につながりそうなERPを選ぶことが導入におけるポイントです。