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時間を節約する「レストラン予約アプリ」の人気を考える

レストラン予約サービスの需要

「時は金なり」とはよく言われますが、レストラン予約アプリはユーザーの時間を節約することを通して利益を生み出している現在注目のテクノロジーです。
実際のところ、このようなシステムは20年ほども昔の1998年の時点でOpenTableというサイトによって開発されていましたが、現在では来店直前に予約をする時や、待ち時間が少ないレストランを探したり、あるいは予約が難しいレストランを押さえたい時でも携帯電話を使えばそれらが簡単に可能になる時代で、レストランとユーザー両方に非常に便利なシステムとなっています。

例えば去る2月に、レビューサイトYelpが通常は予約サービスを提供していないカジュアルレストランでの予約を可能にするNowaitというアプリを4000万ドルという高値で買収し話題となったことからも分かるように、この「レストラン予約サービス」に対する需要の高さが見て取れます。

Yelpは元来OpenTableと2009年にパートナーシップを提携していましたが、2015年12月に提携が終了して以降は常に新しい提携企業を探していたところでした。
そのような背景を経てNowaitと組んだ今回のサービスは、利用者が実際に列に並ばなくとも席待ちリストに名前を登録することができる便利なものとなっています。

基本的には、レストラン関連のアプリには「予約を取る」ためのものと「(会計など)レストラン内で便利な機能を提供する」タイプの2種類に分けられます。
どちらも時間の節約を目的として作られていますが、それぞれ改善の余地がまだ存在するのも確かです。

次に、最近登場した予約アプリをそれぞれの機能と共に紹介していきます。

Nowait

創始者:ロブ・マイヤー、ジェームス・ベルト、ルーク・パンザ、リチャード・コルビン
設立:2010年
投資総額:2207万ドル
事業展開規模:アメリカ・カナダ
本社:アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ

Nowaitの基本理念は、レストランの席待ちの時間を節約するというもので、2016年にYelpによって4000ドルで買収され話題を呼びました。
普段からテーブル予約を取っているレストランでなく、あえて席の予約を取っていないカジュアルレストランを対象としてサービスを展開し、席に空きが出た際にアラームで知らせるというシステムが特徴です。

Nowaitによると、このアプリでこれまでユーザーの待ち時間を40億分も節約した事になるということです。
今回Yelpとの統合により、ユーザーは近辺レストランの待ち時間状況を把握し、予約の名前を登録することができるようになりましたが、このサービスは非常に便利なものとなっています。

Table8

創始者:サントッシュ・ジャヤラム、ピート・ゴットナー
設立:2013年
投資総額:460万ドル
本社:アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ

このTable8というアプリは、高級レストランの予約が急に必要となった際に活躍してくれるというコンセプトでしたが、席が取れるかどうかは時間帯によりますし予約手数料もかかるという点がユーザーとしてはネックでした(手数料はTable8とレストラン側でシェア)。

このような理由もあり、レストラン予約アプリ業界にはいち早く参入したTable8でしたが残念ながら今年の2月いっぱいでサービス提供を停止しており、「果たしてユーザーは高級レストランのテーブルを予約するのに追加料金を払ってまでこの手のアプリを利用するのだろうか」という疑問が提示される結果となりました。
創業者のコメントとしては「ビジネスの成長に必要なだけの先行投資を続けることができなくなったため」やむなく今回の事業停止に至ったという事です。

Reserve

創始者:ジョー・マーチェス、グレッグ・ホン
設立:2014年
投資総額:2500万ドル
事業展開規模:125都市
本社:アメリカ・ニューヨーク

一時は「レストラン・コンシェルジュサービス」として知られたReserveですが、次第にレストラン関連のテクノロジー全般を手掛けるようになり、リストに掲載されたレストランの中から希望するお店を予約時間や予約人数に関わらず一律$5で予約することが可能なサービスを開始しました。

そして昨年、課金システムを廃止してより一般的な「迅速な予約システム」サービスをアプリとサイト上で展開するようになりました。
また、2015年には俳優で映画監督のジョン・ファブローと同じく俳優のジャレッド・レトらの著名人が合計1500万ドルを投資した事でも話題を呼びました。

Resy

創始者:ギャリ―・バイナーチャック、ベン・レベンサル、マイケル・モンテロ
設立:2014年
投資総額:1500万ドル
事業展開規模:全米50都市
本社:アメリカ・ニューヨーク

Eaterの創始者ベン・レベンサルを迎え、Resyは手軽かつスピーディにレストランの良い席を予約することができるアプリとして登場しました。

Table8同様、サービス内容によっては費用がかかるケースもありますが、Table8との違いは大企業Airbnb(2016年に1300万ドルを投資)と業務提携をしているという点で、同社の広範囲にわたるネットワークを駆使してより効率的に旅行者などのユーザーにアプローチすることができるのが大きな強みです。

Tock

創始者:ニック・ココナス、ブライアン・フィッツパトリック
設立:2014年
投資総額:750万ドル
事業展開規模:世界9か国38都市
本社:アメリカ・イリノイ州シカゴ

シカゴでレストランを経営するニック・ココナスを創始者とするレストランソフトウェアTockは、通常予約の他、個室予約や前払い制予約などにも対応します。

ココナス氏は2014年の時点で「チケット制やサービス料の課金といったシステムは今後レストラン業界のトレンドとなってくるでしょう」と述べており、2016年10月にはTockは750万ドルをつぎ込むなどしてオンラインレストラン予約業界に新風を吹き込んでいます。

Allset

創始者:アナ・ポリッシュチャック、アーセンティ・ファレンク他
設立:2015年
投資総額:385万ドル
事業展開規模:サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴ
本社:アメリカ・サンフランシスコ

Allsetはレストラン内で利用するアプリで、座席予約はもちろんの事、オーダーや支払いまでをこのアプリで済ませることができてしまいます。
それにより時間を大幅に節約できる事から、特に時間の限られたお昼休みにレストランを利用するサラリーマンを最大のターゲット層としています。
Allsetは現在350以上のレストランと提携しており、2017年にはさらに事業拡大を予定しています。

この記事はThe Rise of the Pocket Conciergeの記事を本ブログが日本向けに編集したものです。

店舗運営のミライを考えるメディア:編集部より

北米で開発・活用されている飲食店の予約アプリ記事をご紹介しました。
こうした海外のアプリの成り立ちや飲食店の運営方法も、参考になるのではないでしょうか。

なお、日本で利用されている一般的な飲食店の予約システムでは、予約を取るだけで手数料がかかるアプリやシステムはいまのところありません(※会員制の店舗や独自でアプリ開発を行って運営している店舗では、課金システムを採用しているかもしれません)。
テーブルチャージやサービス料、またはそもそもの飲食代金に含まれている場合が多いからではないかと考えられます。

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