電子レシートがもたらすミライ。レシートが新しい価値を生む日も近い
皆さんは普段、紙レシートをどうしていますか。コンビニに行っても、お洋服屋さんに行っても紙レシートは必ずと言っていいほど発行されます。ほとんどの人がそのまま捨てるか、自宅に持ち帰って家計簿をつけた後に捨てるかでしょう。よほど丁寧に管理しない限り、最終的にはゴミ箱行ですが、このレシートが電子化すれば様々な価値を生むようになります。
- 電子レシートは紙媒体にないメリットやビジネスチャンスがある
- メリットの一部は財布が膨らまない、レシートがなくならない、家計簿アプリと連携しやすいなどである
- 店舗側にすれば、販促やコスト削減、レジ混雑防止が期待できる
- 政府も電子レシート導入に積極的である
- 普及するかはお客様次第だが、店舗が紙レシートを廃止すれば利用せざるを得ない
電子レシートとは
電子レシートとは電子媒体で受け取れるレシートです。紙媒体で提供され続けていたレシートですが、デジタル化することで会計時に電子データとして受け取れるようになります。
EC市場の拡大によって紙媒体の受け渡しが困難になり、電子マネーの拡大によってお客様のメールアドレス情報を入手できるようになったことで電子マネーの需要が増大しました。
仕組みは商品を購入した際に登録されているお客様アカウントにレシート情報を提供するだけです。「紙媒体から電子媒体へ」というシンプルな変更ですが、これが紙媒体のデメリットをなくし、様々なビジネスチャンスを生むようになります。
財布が膨らむのを防ぐ
紙レシートのデメリットは、レシートの整理をしないと財布がすぐパンパンに膨らんでしまう事です。
レジに並んで、自分の支払い順になるとせっせと支払を済ませてレシートは財布の中に。後列にはお客様が何名も支払待ちしているのでモタモタしていられません。
そんなことを繰り返しているうちに、知らない間にお財布はパンパン。お財布を開けばレシートが大量に入ってみっともない状態です。
紙レシートでは定期的なレシート整理が必要になります。
しかし電子レシートであれば無形なのでそんな心配もありません。いつでもIT機器から必要なレシートにアクセスできます。
なくなる心配がない
レシート紛失リスクがないことも電子レシートのメリットです。不要だと思って捨ててしまったレシートでも後々必要になる場合があります。
クレジットカードでしたお買い物内容を照会したい時は、レシートを捨てなければと後悔することがあります。
電子レシートの場合、基本的になくならないので*レシート明細を確認したい時に確認ができます。
*電子レシート有効期限はあります。
家計簿アプリと連携で帳簿が楽ちん
今は家計簿をスマホで管理する家庭も多いようです。
スマホで家計簿作成ができればかなり便利ですが、紙レシートであれば結局、人力で入力が必須になります。
しかし電子レシートは家計簿アプリと連携している場合も多いので、人力で入力不要で効率的に家計簿作成が行えます。
ビジネス利用にも最適
このように、お客様視点では便利な電子レシートですが、実は企業側によっても電子レシートはとても価値ある資産となり得ます。購買データとお客様が紐づけされることで様々なビジネスシーンで利用できるようになっています
販促に活用
電子レシートは、そのまま販促ツールとして活かすことができます。
電子レシートにサイトのURLを貼ったり、キャンペーン情報を表示したりすれば、それがそのまま販促になります。メールマガジンのような役目を電子レシートが担うようになるのです。
電子レシートは大きさに制限がないため、表示したいだけキャンペーン情報を表示できるので販促ツールとして自由度が高いです。
購買情報と顧客情報を紐づければ貴重なデータ資産となり、お客様のデータを集積・分析すればマーケティングに十分活用できる情報となります。
コスト削減やレジの混雑防止
紙レシートではコストがかかります。印字ができる特別な用紙の購入だけでもコストが発生しますし、用紙がなくなるごとにセットするため人的コストも発生します。来客が多い販売店の場合は1日に数ロール分の用紙を変える必要があるのでその度にレジをストップさせていては顧客満足度にも影響します。一方、電子レシートではそのようなコストは発生しません。支払いを済ませれば後は自動的にレシート情報が提供されます。
電子レシートが作る新たな使い道
電子レシートは、レシートの新たな使い道を生み出しています。
以下に、電子レシートのサービスをご紹介します。
Squareは顧客コミュニケーションやエンゲージメントに
アメリカ発のクレジット決済会社Squareは、電子レシートを通してお客様とコミュニケーションを取るためのツール「Square メッセージ」を開発しました。電子レシートを受け取ったお客様がそのお店に対する満足度や要望を連絡することができるサービスでお店はお客様と個別にコミュニケーションがとれます。お客様情報が集積されるので平均単価や訪問率などのデータ分析も可能になります。
メール送信機能にリコメンド機能も
株式会社エイジアが提供している「レシートメール」は顧客にレシート情報をメール送信するだけでなく、メールレシート情報にECサイトのリコメンド情報などを盛り込むことでECサイトへの誘導を行っています。
またエラーメール解析機能が付いていて、これによりお客様にちゃんとメールが届いているか否か、さらになぜエラーメールになるのか、まで分かるのでお客様リストの整理に役立ちます。
ビックカメラも電子レシートを採用
家電大手のビックカメラは、ビックカメラ公式スマートフォンアプリを電子レシート対応にすることで、紙レシートの発行の有無を選択できるようにしました。
店頭でポイントを使った買物を行う場合にのみ適応されるこのサービスは、レシートの余分な発行を防ぐ狙いがあります。
また過去の購入履歴などは電子データで閲覧できるため、ルーチンで購入している商品をすぐに見つけることも可能となります。
政府も後押し
電子レシートは政府も積極的に推進しています。
実際に2017年3月には、九州のコンビニエンスストアやスーパーで経済産業省主導のもと電子レシートの実証実験を行いました。
政府も国の新たな成長戦略の1つとしてフィンテック分野に力を入れていて、電子レシートはまさにその領域になります。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H3Q_W7A720C1EE8000/
課題は領収書
コスト削減やデータ活用など良い側面ばかりの電子レシートですが、課題はあります。その一つが領収書です。
家計における帳簿付けであれば購入情報さえあればよいので有形のレシートは不要ですが、企業の経費精算には有形の領収書が必要となります。
そのためまだ電子データのみでは対応ができません。(もしくは対応可能かもしれませんが、一般には浸透していません)
とはいうものの、政府も徐々に電子データを会計書類として認めるために法律を緩和しはじめています。
実際、2017年1月1日には電子帳簿保存法改正により、スマートフォンで撮影した画像を紙の領収書代わりに会計書類として保存できるように法律が緩和されました。
徐々にですが電子データが正式な会計書類となりはじめています。
普及はお客様次第だがそうせざるを得なくなる可能性も
以上のように、今は官民一体となって電子レシートを推進しており、十分なサービスも供給され、国の制度も整う方向に向かっています。
となると後は電子レシートの普及はお客様の利用次第です。
電子レシートの利便性が高まると、もしかしたら紙レシートの発行を停止するお店が出てくるかもしれません。
すべての生活がIT化に突き進んでいる今、ある程度ITリテラシーを身に付けないとレシートさえ受け取れない時代がすぐそこまで迫ってきています。