購買決定メカニズムAMTULで顧客と長期的な関係を築く
消費者に商品を購入してもらうためには、消費者心理を知らなければいけません。良い商品を作っていれば売れる時代は終わりました。モノ余りの今の時代において、売り上げ確保のためには、消費者の購買心理を理解して、しっかりと購入までの道筋を作ることが重要です。
- 消費者の商品購入プロセスは決まっている
- AIDMAは基本的な購買決定メカニズムである
- AMTULは長期的な購買決定メカニズムである
- AMTULは各項目を数値化できる点が特徴であり、AMTULの究極的なゴールはブランド化である
購買決定メカニズムとは?~消費者が購入する仕組みは決まっている~
消費者の商品購入プロセスは場当たり的ではなく、意外とシステマチックに購入までのメカニズムがあります。これは行動経済学的な観点でも心理学的な観点でも見ることができます。
今はインターネットの発達によって意識せずとも情報がどんどん入ってきます。そのため、消費者が商品を一目ぼれで購入するのはレアケースで、色んな商品を比較・検討した結果、商品を決定します。そして購入メカニズムの考え方は一つではなく、短期的な購入や長期的な購入などによってそのメカニズムは異なります。
基本的な購買決定メカニズムのAIDMA
AIDMAは基本的な購買行動メカニズムを表した考え方です。これは1920年ごろにアメリカで提唱され始めた概念です。
Attention:商品に注目する
Interest:商品に興味を持つ
Desire:商品を購入したいという欲求を持つ
Memory:商品を記憶する
Action:商品を実際に購入する
の頭文字を取っています。消費者は、まずテレビCMやインターネットなどで商品を知り、注目します。そしてその商品に興味があるか否かを判断します。AttentionとInterestは同じタイミングで発生する場合が多いですが、Interestで否と判断されてしまった場合、その時点でお客様にはならない可能性が高いです。
次に、その商品が自分にとって必要かどうかを判断しますが、これは即決の場合もあれば時間をかけて判断する場合もあります。購入したい場合でも金銭的理由から即購入には至りませんが、商品情報はしっかり記憶します。そして購入タイミングが来たら消費者は商品を購入します。
AIDMAは消費者が商品を見つけてから購入するまでのベーシックな購買行動メカニズムを表しています。一方で商品を見つけてから購入し、さらにその後も購入し続けてくれる関係構築も念頭に置いた購入メカニズムがあります。固定客獲得までを考えた購入メカニズム、それがAMTULです。
長期的な購買決定メカニズムのAMTUL
AMTULは時代の変化によって生み出された考え方です。その要因はインターネットやメール、ソーシャルネットワークサービスの進歩です。これらの新しい外部環境の変化が、このメカニズムを作り出したと言っても過言ではありません。お客様と接点を持ちやすい時代だからこそ、生み出されたメカニズムです。
Awareness:商品に気づく
Memory:商品を記憶する
Trial Use:商品を試しに使う
Usage:商品を使った経験がある
Loyal:商品を積極的に使っている(ファンである)
上記の5ワードの頭文字を取っています。
消費者ははまずテレビCMやインターネットなどで商品を知ります。そしてどんな商品かを記憶します。この過程はAIDMAにも存在します。
次はAIDMAになかったTrial Useです。いわゆるお試しキャンペーンなどがこれに該当します。インターネットのなかった時代は、お試しキャンペーン自体よりもお試しキャンペーンを知らせる広告に莫大なコストがかかっていましたが、ホームページやメールマガジン、SNSだと無料で発信できるため、お試しがこのメカニズムには組み込まれました。
そしてお試し後、商品を気に入ったならば商品を購入します。Usageです。
AIDMAでは商品購入がゴールでしたが、AMTULにはまだ先があります。それがLoyalです。Loyalは積極的に商品を使っていることを指します。ヘビーユーザーがここに該当します。
AMTULは各項目を数値化できる点が特徴
AMTULが今までの購買決定メカニズムと大きく異なる点は、各過程をシンプルに数値化できることです。AIDMAも数値化をしようと思えばできますが、Interest(商品に興味を持つ)やDesire(商品を購入したいという欲求を持つ)は主観的な欲求のため、曖昧さをはらんでいます。
一方でAMTULの各項目は、すべて明確にYESorNOで回答できます。商品を試しに使ったことがないのに回答に悩むことはありません。YESorNO、つまり1or0です。
数値化できることで消費者がどの段階で二の足を踏んでいるか判明するため、今後の経営方針にも活かすことができます。
AMTULを活用した具体的施策
AMTULの概要はご理解いただけたかと思いますが、では実際にどのような施策がこの5つを達成し得るのか、経営者的な側面から見ていきます。
Awareness:商品に気づく
商品に気づいてもらうことがAMTULの第一歩です。認知してもらわねば売り上げは当然獲得できません。
商品に気づいてもらう(=知ってもらう)には、テレビCM、ネットCM、チラシ、SNSによる情報発信、ホームページなどがあります。優良なものから無料なものまでありますが、まずは商品を知ってもらうことがはじめの一歩です。
Memory:商品を記憶する
商品を覚えてもらえば、購入に一歩近づきます。商品を覚えてもらうには、先ほど紹介したAwareness(商品に気づく)の施策を繰り返し行います。何度も定期的に広告を見ることで消費者は商品を記憶します。
それ以外には瞬間的に話題になる方法もあります。ツイッターで拡散されたり、ニュースで話題になったりすれば、たった1度の接触であっても、しっかりと記憶に残ります。施策の繰り返し以外にも、覚えやすい商品名や他にない特徴を持った商品であれば、消費者の記憶に残る可能性が高いです。アイデア次第で突破できるプロセスです。
Trial Use:商品を試しに使う
お試しで使う気のある消費者は、あと一押しで正式なお客様になります。お試しキャンペーンを打つには商品のジャンルによってできる、できないがありますが、化粧品や健康食品業界はお試しキャンペーンを上手に活用しています。30日間50%OFFなどの割引や、商品モニター募集をするなど、まず使ってもらうことに注力しています。
商品価値は、使った後でこそ理解できますので、まずは使用してもらうことが重要です。ここで試用された方のメールアドレスや住所等を記入してもらっておくことも重要です。健康食品以外にも英会話やトレーニングジム、最近ではITサービスもお試しキャンペーンを活用しています。
Usage:商品を使った経験がある
この段階では完全にお客様となっている可能性が高いです。正規の料金でサービスを受けたお客様がここに該当します。
このお客様方を囲い込めるかが、AMTULのポイントになります。Trial Useの際に書いてもらっていたメールアドレスや住所宛てに、購入を促すような情報を定期的に送りましょう。
Loyal:商品を積極的に使っている(ファンである)
Loyalは商品を愛用してくださるお得意様です。定期的に商品を購入してくれるためLoyal層を多く獲得すれば売り上げも安定します。
お客様をお得様にするにはポイントカードや特別な限定クーポンの配布、お客様ごとのきめ細かな気配りなど特別な接客も必要になります。
AMTULの最終的なゴールはブランド化
AMTULの最終的な目標はブランド化になります。お客様が一度Loyalに達すれば、「そのお店の商品だから」という理由で商品を購入してくれるようになります。
一流のブランドであるエルメスやルイヴィトンのお客様は「エルメスだから」、「ルイヴィトンだから」という理由で購入します。
Loyal層をたくさん作り、長年に渡って関係を構築することでその商品、メーカーはブランドとなります。ブランドになったメーカー商品は、あえて売り込まずともお得意様たちが購入してくれます。この流れこそがAMTULの究極的なゴールになります。
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