Eビジネスを推進するORANGEシリーズ
行動自粛による大幅な人流制限・行動変化などは、実店舗を持つ企業に大きな影響を及ぼしました。場合によっては数ヶ月もの間モールや館自体が閉鎖され、売りたくても売れないという状況になっています。
しかし本当の変化は、「購買という体験そのもの」が「行動変容の陰に隠れて大きく変わってしまった」ことにあると考えています。
テクノロジーが後押しをした部分ももちろんあると考えられますし、社会情勢がそれを満たすように動いているものもあるでしょう。
今後、ビジネス規模の大小を問わず、店舗のあり方は変わり、そこに伴うレジのあり方も少しずつ変わっていくと考えられます。
店舗と言えば、「商品を並べ、在庫を抱え、お客様にその商品の説明をし、商品の体験をしてもらい、そして販売する」というフルスペックのサービスを提供するものでした。言い換えれば、航空業界のフルサービスキャリアのように、すべてが一カ所で提供されるサービスでもありました。
しかし、欲しい商品が少数生産品になればなるほど、あるいは取り扱う商品の幅が広がれば広がるほど、店舗としてのスペース要求は大きくなり、空間効率(あるいは坪あたりの売上高)は低下していきます。
そこで、売れる場所に・売れる量だけ・売れる商品だけを展開しよう、というポップアップストアの考え方が生まれ、日本国内でも一定の評価を得るまでになりました。単位面積あたりの購買効率を最大化しようという考え方ですね。
駅の中、町中のちょっとしたスペース、あるいはショッピングモールの入り口近くの人通りはあるが狭い場所などに作られたポップアップストアは、集客エンジンとしても機能し、一定以上の効果を出しました。
常設型の大型店舗に比べ、初期費用が比較的安く済むこと、ランニングコストなども低く済むこと、などが評価されますが、ECの進化・一般化に伴ってこの流れも大きく変化していきます。
店舗ですべての商品の在庫を確保し、実際に販売を行う必要性は必ずしもないのだと、お客様の購買行動からも少しずつ判明していきます。例えば駅中にポップアップストアを展開しても、お客様は必ずしもその場で商品を購買し、実物の商品を持ち帰ることは望んでいない、というケースも数多くありました。
これらの流れを受け、ポップアップストアでは、売る以外の機能が重視されるようになり、お客様と商品との出会いのみに特化、実際の商品は配送センターからお客様のご自宅に配送するという仕組みが誕生しました。
駅や町中で偶然通りすがって足を止めるわずかな時間は、実物の持つ魅力を知ってもらうための時間に使ってもらい、購入するか悩んだり、実際に購入したりする行動は、ECの世界でしてもらえば良い、という考え方です。
このような店舗では、在庫を適切に管理し、膨大な売上情報をスピーディに作成するよりも、お客様が帰宅後、ECサイトに訪問できるような切っ掛け作りをすることや、店頭のPOSレジシステムで予約注文後、そのまま自宅配送手続きまでを実施できるなど、在来の店舗で求められていたチェックアウト機能とは全く違って機能が求められるようになりました。
言い換えれば「レジのない店舗が成立する」状況となっている、というわけです。
数年前、まさに未来の店舗として語られた店舗の形がありました。
Amazonがアメリカで展開したAmazon Goのような、商品のピックアップをするだけでそのまま購入することが出来る、という画期的な店舗の仕組みです。店舗に入店する際に顔やスマホなどで個人認証し、店内に設置されたカメラでお客様を追跡。手に取った、カゴに入れた、鞄に入れた、などの動作を検出し、その動作に合わせて商品の購買状況を判断、お客様が鞄に入れたままお店を出れば、そのまま購買が完了し、入店時の認証に紐付けられたアカウントから決済される、という仕組みでした。
ここには大きなキーワードがあります。
完全にオムニチャネルの仕組みが整っていないと実現することの難しい仕組みですが、膨大な会員基盤をもつAmazonであるからこそ可能である仕組みでもあります。
日本国内でも企業の社屋内にある店舗での限定的な実験や、同時入店数が1人しか対応できないケースなどの実証実験が行われました。ファミリーマートなど一部のケースでは一般実用拡大に向けて大きく前進していますが、全体としてみればまだまだ小さな動きです。
ただ、ブレイクスルーとして非常に大きなものであったことは事実であり、大きく社会を変えるエネルギーをもつ取り組みであったといえます。
Amazon Go発表後数年間の店舗系のテクノロジー展示会では、Amazon Goのような店舗を実現するための様々な技術展示であふれていました。
もちろんこのような店舗は、レジも在来の形とは大きく異なってきます。
一つには、完全自動化が図られているため、当然在来の様なレジカウンターと、レジシステム自体が不要になりました。必要となる機能はむしろECのチェックアウト機能でもあるため、求められるのはオムニチャネルシステムとしてのデータ連携機能です。
レジ自体の機能ではなく、カメラによる個人認証や会員登録の簡易化など、レジ周辺の機能強化が強く求められるようになりました。
Amazon Goのような完全自動化が実現された店舗の構成は難しいものの、そのエッセンスだけでも十分に価値はあるとされ、レジ本体だけではなく、レジ周辺の機能強化が行われるに至りました。
日本国内でもコンビニエンスストアを全国展開しているファミリーマートが、無人店舗を拡大すると発表しています。自動店舗とはまた違った店舗スタイルとはなりますが、省力化、人材確保の困難な時代、ビジネスモデルの変化などにより、今後このような流れは加速していくと考えられます。
様々な店舗が生まれ、様々な顧客体験が形作られていくに従って、求められる店舗の形も変わってきました。
体験を中心においた「売らない店舗」の誕生はもちろん、Amazon Goのような完全レジレスの店舗、その他にも買う事を目的としない店舗などが生まれてきました。
これらのお店に共通する要素として、技術的に新しい事はもちろん、お客様に提供する顧客体験価値自体が新しくなっていることが挙げられます。
これまでは店舗に実際に行かなくては出来なかったことが、ECやWebといったデジタルチャネルでも実現できるようになりました。お客様は場所や時間などを気にすることなく、様々な情報を手に入れられるようになったのです。
新しい顧客体験を提供しようとするこの動きは、在来のお店に求められる価値が変わってきている証拠でもあると言えます。
これらのことから、これからの店舗に求められる中心的な価値は商品を売ることだけではなく、店舗やブランドなどとの接点となることが強く求められると考えています。
そして顧客接点となる以上、ブランドや企業のもつ顧客とのコミュニケーション戦略などに基づき、店舗に求められる機能は異なってくると考えられます。
例えば、
など、店舗でどのようにお客様とコミュニケーションを取っていくのか、ということが大きく異なってくると考えられます。
例として挙げたアパレル企業の場合には、「スタッフの着こなし」を店頭で体験いただき、スタッフが適切なコーディネートを例えばアプリで提示する、そしてアプリからそのまま購入を促す、という店舗のPOSを介さない購買スタイルが生まれることも予想できます。
この場合、店舗のPOSレジシステムに求められるのは購買ではなく、お客様の情報を捉え、正確に情報をつなげるというオムニチャネル端末的な機能です。
調理器具の場合にも同様で、例えば店舗では材料のみ購入し、調理器具は自宅に帰ってから選んでもらう、などの体験設計も考えられます。食品という「自分の目で見て買いたいもの」は店頭で購入していただき、持ち運びが困難なサイズや重量の調理器具などはECでの購入を促す、なども考えられます。
この場合にも、例えば店頭のPOSでの食品の購買を起点にする、様々なイベントを設計することで、お客様により適切なチャネルで適切な購買をする、という体験を提供することが出来ます。
このように、今までの店舗だけではなく、これからの店舗という考え方に立った場合には、平易に体験重視やレジレス店舗を想定していくばかりではなく、どのような体験をお客様にしていただき、どのような価値をPOSで提供していくのかを考え、適切な顧客体験設計をしていくことが欠かせないと考えます。
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