店舗運営のAtoZ全31回
Lesson6 業務改善編
26業務改善する方法未学習
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マーケティング戦略に時間と手間をかけ、商品ラインアップや販売手法に工夫を凝らしても、なかなか店舗の利益が上がってこない、このようなときは店舗業務に何かしらの「非効率性」が生じていることがあります。
そういった「非効率的な業務」は、コストアップやスタッフの負担増加につながってしまいかねません。
結果として、純利益の減少や生産性の低下を起こしてしまう可能性があるため、店舗運営を安定させるには早く発見し、改善をしていく必要があります。
そこで当ミライ塾では、「業務改善編」と題しまして全5回、店舗における業務改善の手法について紹介します。
その第1回目となる今回は、業務改善を進める際に意識したい3つの方法について、以下の項目に沿ってお話をしてまいります。
- 業務改善を進める3つの方法
- 「なくす」ことによる業務改善法
- 「減らす」ことによる業務改善法
- 「変える」ことによる業務改善法
- まとめ
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業務改善を進める3つの方法
マーケティングによる販売戦略や原価率への意識、クロスセル・アップセルによる客単価向上など、「売上」に直接かかわる業務については関心が強く、常に改善していることも多くなります。
しかし毎日、もしくは定期的に行う
- 品出し・棚卸
- 各種伝票・売上実績表の作成
- 商品へのラベリング
- ミーティング資料の作成
などといった業務は、直接的には売上と関わってこないため、ついつい機械的に「作業化」してしまい、効率性や生産性に意識が向かないこともあります。
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そして、店舗の利益や生産性を向上させていくために行う業務改善とは、そんな日常的な「作業」の中から、非効率的なものがないか探していくことから始まり、
「やめる・減らす・変える」
という3つの方法で、それぞれを改善していくことになります。
1、「やめる」ことによる業務改善法
最も分かりやすく、素早く効果を実感できるのは、非効率的な業務を丸ごと排除してしまう、「やめる」ことによる業務改善法です。
日常化した業務について、「それが本当に店の運営に不可欠なのか?」ともう一度問いかけ、必要ないと判断したものを思い切ってやめてしまった場合、一気に業務効率がアップすることがあります。
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例えば、これまで商品1つ1つに価格のラベリングをしていたものを、陳列棚ごとの価格表示にするだけでも、ラベラーとシールにかけていた経費を削減できますし、お客様にとっても商品の価格がわかりやすくなり、販売促進につながる可能性もあります。
また、棚ごとの価格管理をすることにより、品出しや棚卸がスムーズになるため、スタッフの手間と時間を減らし、より販売活動に専念できる環境を作ることも可能です。
- 【ここがポイント!】
~やめずに「無くす」方法もある~ -
例に挙げたラベリングのように、実際に業務自体をやめてしまう方法もありますが、業務としては「やめず」に、単純に物資として「無くす」だけの方法というのもあります。
それが、今まで「紙」に印刷していたポスターなどといった広告媒体を、デジタルサイネージ化したり、会議資料や販売実績などといった膨大な資料をデジタル管理し、携帯デバイスなどで共有したりする、「ペーパーレス」への移行です。
このペーパーレスは、物質的に「紙」を無くすことによる経費の削減はもとより、データとして共有することで様々な業務改善につながってきますので、「業務改善編」の1項目として、改めて別記事で詳しくご紹介いたします。
2、「減らす」ことによる業務改善法
続いては、店舗運営をする上で「やめる」ことはできない日常業務について、その回数などを「減らす」ことができないか、模索・実行していく方法です。
例えばですが、先程ラベリング業務の廃止によって、大きく効率化を図れると述べた品出しや棚卸業務ですが、これらの業務を完全にやめてしまうことができません。
しかし、実施する「回数を減らす」ことは検討でき、品出しの場合ですと店舗において売り上げが集中する時間に合わせて回数を絞り込めば、人員配置の正確性が増して他の業務がスムーズになります。
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また、毎週1回すべての商品について棚卸をしているケースでは、
A:すぐに売れていき、消費期限も短い商品→週1度
B:定期的に売れ、Aよりも日持ちがする商品→2週に1度
C:A・Bよりも販売スパンと、消費期限が長い商品→1ヵ月に1度
とこのように、商品ごとの消費期限や販売実績によって、数段階に商品を区分して棚卸をすることで、トータル的な棚卸の回数を「減らす」ことができます。
- 【ここがポイント!】
~ミーティングの手間を「減らす」~ -
販売戦略をスタッフ全員で練ったり、新商品の概要説明や販売スキルを磨くためのロールプレイングなどを行うミーティングは、その開催回数を減らしてしまうと、かえって店舗の売上が伸び悩むこともあります。
特に、多店舗展開をしている場合では、各店舗の責任者が一堂に集う、いわゆる「店長会議」の開催は重要ですが、移動コストもかかるうえ、責任者不在の状況が長く続くことは、店舗にとってあまり望ましくありません。
しかし、最新のグループウェアを活用した「電子会議」を開催すれば、離れた場所にいる店長でも自店舗にいたまま参加することも可能となるため、移動コストや責任者の負担を減らす」ことを望めます。
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3、「変える」ことによる業務改善法
業務改善のうち最も難しく、知恵を絞らなければならないのが、「やめる」ことも「減らす」こともできない業務を、「変える」いく方法です。
「やめる」ことや「減らす」ことによる業務改善は、目に見えてコストが削減でき、業務効率のアップも実感でき、その効果が出るのも比較的早いのがメリットです。
一方、業務を「変える」ためには、一定のコストが発生するうえ、場合によっては不発に終わることもあるため、若干のチャレンジスピリッツが求められてきます。
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業務を「変える」パターンは大きく3つあり、
- 人・・・シフト調整や配置変換
- モノ・・・商品を製造する道具や商品自体の変更
- ルールと仕組み・・・店内規定や販売実績・在庫・顧客管理システムの変更
がそれにあたりますが、いずれも試してみない事にはその効果が上がるかわからないものです。
まずは、商品の製造に用いる道具の置き場所を変えたり、商品の配置を変えたりするなど、ちょっとした店舗改革から始めていきましょう。
また、削減を意味する「やめる・減らす」と異なり、「変える」による業務改善には、うまく売上実績や利益が伸びてこない場合の「善後策」という側面のほかに、店舗として発展していくための「改革」も含まれてきます。
店舗としてより進化をしていくための「変える」であれば、多少コストがかかっても「スマートデバイス」や「ビジネスアプリ」などといった、最新のICTを導入することも検討していくと良いでしょう。
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- 【ここがポイント!】
~スタッフの意識を「変える」ことによる業務改善~ -
「変える」ことによる業務改善において、最もかかるコストが少なくて済み、かつ効果の持続性を望めるのが、「スタッフの意識を変える」ことです。
単純に「人」を入れ替えるのではなく、それぞれの持ち味や長所をよく観察し、それを伸ばす教育や、正当な評価をしてあげるだけでもスタッフの意識は「変わり」、優れたパフォーマンスを発揮してくれることがあります。
そのうえで、シフト調整や人員配置において「適材適所」を心がければ、コストがかかり、その効果もはっきりしない商品やシステムの変更などをしなくても、店舗業務が飛躍的に改善されることがあります。
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まとめ
店舗の業務改善は、「やめる」「減らす」「変える」という、「3つの方法」で進行していきますが、いずれもやり過ぎるとかえって店舗運営が滞ってしまうので注意が必要です。
3つの方法すべてにおいて、取り組む前と後における、売上実績の推移を細かくチェックしながら、1つずつ業務改善は進めていきましょう。
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ここがまとめポイント!
- 業務改善を進めていく方法には、「やめる・減らす・変える」の3パターンがある。
- 数多くある業務の中から、必要ではない業務をピックアップして、すっぱり「やめる」ことも時には必要である。
- 「やめる」ことができない業務は、回数や手間を「減らす」ことで改善していくことも可能。
- 業務を「変える」には、コストがかかることもあるが、時には進化のために最新のICTツールを導入するなど、「改革」による新たな取り組みも必要。
- 小テスト:ECサイトを構築する際の主な工程
- 次のうち、記事内容と一致しないものを1つ選んで、クリックをしてください。
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- 【正解】2:品出しや棚卸など、必須業務の回数や手間を減らすことは不可能だ。