店舗運営のAtoZ全31回
Lesson5 店舗のICT活用編
19デジタルサイネージの概要と活用法未学習
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皆さんも街を歩けば、看板・のぼり・ポスターなどといった、販売促進のための広告媒体をたくさん見かけることがあると思います。
こういった販促ツールは、「サイネージ」と呼ばれ、直訳すると標識やマークのことを指し、ほとんどの小売店やサービス提供店において店舗周辺に設置し、広告媒体として利用しています。
ですが最近では、大型ディスプレイなどに静止画や動画を流し、商品広告をより効果的にできる「デジタルサイネージ」も随分と普及し、優秀なICTツールとしての地位を固めてきています。
そこで、ICT活用編第2回目となる今回は、デジタルサイネージの概要と、その有効な活用法について、以下の項目に沿って解説してまいります。
- デジタルサイネージの種類
- スタンドアロン型サイネージとは
- ネットワーク型サイネージとは
- インタラクティブ型サイネージとは
- まとめ

デジタルサイネージの種類
デジタルサイネージと一言で言っても、大きく2種類に分けることができ、1つ目は広告媒体自身に表示したい画像や動画のデータが備わっているため、外部との同期が必要ではないもので、広告業界的には「スタンドアロン型」と呼ばれています。
もう一方は、インターネット回線と接続してデータを送信・表示をするサイネージで、「ネットワーク型」と呼ばれています。
この項では、それぞれがどのような特徴を持ち、その活用によって発生することが考えられる、メリット・デメリットなどについて、詳しくお話をしていきます。
1、スタンドアロン型サイネージとは
スタンドアロン型サイネージとは、表示媒体に内蔵されるHDDや、外部でデータを移したUSBの接続によって広告を表示する、デジタルサイネージのことです。

「スタンドアロン(Stand-alone)」とは、他の機器やネットワークに依存せず、単独で動作するという意味です。
そして、単独で広告をデジタル表示しているものであれば、どんな広告媒体も基本的にはスタンドアロン型であり、最も簡単なものでは、
- 開店・閉店時間
- 定休日
- おすすめ商品・サービス
- イベントなどの開催予告
などを、デジタル文字で表示する電飾看板も、言ってみればこのスタンドアロン型サイネージの一種です。
一般的なアナログ広告では、どうしても限られてしまう広告情報を大量かつ自動的に、道行くユーザーへアピールできるのが、最大の利点です。
また、先ほど例として紹介した電飾看板では、文字としての情報提供のみですが、ショッピングモールなどで見かけるモニターディスプレイを利用したものであれば、動画を流すことでより詳細な商品・サービスのアピールができます。
ただし、そういった映像機器を購入し設置するには、「大きなコストがかかってしまうのでは?」と、心配をされる方も多いはずです。

しかし、スタンドアロン型サイネージに利用できる機器一式を、1日単位からレンタルしてくれる企業も多くあります。
さらに、映し出す映像データやデザインの作成を請け負ってくれる広告関連会社も存在しますので常設のみならず、イベントなどに合わせての短期的な活用も可能です。
加えて、個人で経営しているような地元密着型の店舗などでは、広告費を抑えたいなど、大掛かりなデジタルサイネージの必要性を、それほど感じていないケースもあります。
そんな時は、液晶テレビに商品の製造過程やメニュー、イベント開催風景など、手作り映像を流すといった広告活動も、りっぱなデジタルサイネージ活用法の1つであり、それだけでも効果的な店舗アピールが可能です。
- 【ここがポイント!】
~スタンドアロン型は「設置する場所」選びが大切~ -
「手作り映像」を店舗内外で流すケースでは、アピールできる対象は既に来店いただいているお客様か、店舗周辺に住んでいたり通勤範囲であったりして、その存在を少なからず知っている方になってきます。
一方、店舗から離れた場所にディスプレイなどを設置する場合は、その場所選定に配慮をする必要があります。
基本的には、エキナカや大型商業施設などといった、「人が多く場所」に設置するのがセオリーですが、集まるユーザーが自分の店舗の顧客層とマッチしていなければ、大きな宣伝効果を望むことができません。
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また、商業施設に広告として出稿する場合ですと、スペースの使用料が機材準備費用の他にかかってきます。
ですので、スタンドアロン型サイネージを採用する際は、「店舗の顧客候補が集まる場所」をよくリサーチしておきましょう。
また、かかるコストに見合うだけの宣伝効果が出るのかを、最初は短期間レンタルで試したりするのも、良い方法となってきます。


2、ネットワーク型サイネージの活用法
比較的安価で始めることができる、スタンドアロン型デジタルサイネージに対し、ネットワークシステムの構築や、その管理に手間とお金がかかってしまうのが、ネットワーク型デジタルサイネージです。
しかし、わざわざ本体HDDやUSBの書き換えをしなくても、離れた場所で端末を操作することにより、適時広告内容を変えることができるメリットがあります。
そしてそれは、週や月単位ではなく「時間単位」で実施することも可能なため、
- 朝・・・本日の「朝獲れ生鮮品」
- 昼・・・ランチタイムのお得なセットメニュー
- 夕・・・閉店前売り切りセールの開催
などといった具合に、タイムリーなアピール内容にチェンジすることでより一層、サイネージによる宣伝効果を引き上げることができます。

- ここがポイント!】
~店舗の売上状況とリンクさせる~ -
店舗にいながらにして、離れたサイネージの表示内容を変えることができることを応用し、
勢いよく売れている商品がある場合・・・「売り切れ寸前!」「残数わずか!」など
各足が鈍い場合・・・「タイムセール開催中!」「本日限定特価!○○名様限定!」などといった具合に、ユーザーの興味をそそるキャッチコピーの広告を打つと、さらなる売上向上や集客につながることもあります。
ですので、店舗の売上実績に合わせた広告内容を、いくつかあらかじめ準備しておくと、より有効にデジタルサイネージを活用できます。

インタラクティブ型サイネージとは
前項で紹介した、ネットワーク型の発展型として注目を集めているものに、タッチパネルを搭載して、ユーザーの操作内容に合わせて反応・作動する、最新式のデジタルサイネージがあります。

「対話」を意味する「インタラクティブ型」と呼ばれていますが、DVD・CDレンタル店における、在庫検索端末などがその最たる例です。
インタラクティブ型の場合、店舗側からの一方的なプロモーションに留まらず、「ユーザーが望む情報」を適時提供できるため、効果的かつ効率の良いプロモーションが可能です。
また、操作された内容を「データ」として入手可能であり、それを分析すればユーザーの興味が何に向かっているのか、何を欲しがっているのかが詳細につかめるため、市場調査の一環としてマーケティング戦略に利用できると、多くの企業が採用を始めています。
ただし、スタンドアロン型はもちろん、一般的なネットワーク型の採用よりも、大きなコストと運用ノウハウが必要になってきます。

まとめ
今回は、店舗のプロモーション活動をより効率的にできるデジタルサイネージについて解説をしました。
記事を読んで興味が沸き、自店舗での採用を視野に入れる場合は、コストや導入のしやすさからまずはスタンドアロン型から取り組むのがおすすめです。
そして、多店舗展開などといった事業拡大と並行し、ネットワーク型→インタラクティブ型という順序で、徐々に発展させていくといいでしょう。

ここがまとめポイント!
- デジタルサイネージとは、映像などでユーザーの視覚に訴えかけ店舗プロモーションをする、デジタル看板の総称である。
- デジタルサイネージには、単独で広告を表示する「スタンドアロン型」と、インターネットを介する「ネットワーク型」がある。
- スタンドアロン型は比較的安価で始められ、レンタルサービスを利用することで、イベント時などのスポット広告に活用できる。
- コストは若干かかるものの、ネットワーク型ではタイムリーなプロモーションをかけることができる。
- ネットワーク型の進化版として、ユーザーとの対話による市場調査が可能な、「インタラクティブ型」の普及も進んでいる。
- 小テスト
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- 【正解】1:初めてデジタルサイネージを採用する場合では、比較的低予算で効果が望める、スタンドアロン型がおすすめである。