店舗運営のAtoZ全31回
Lesson4 マーケティング編
15マーケティングとは何か~後編~未学習
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前編では、市場調査の実施によるデータ収集と、その精査の段階まで解説いたしましたが、後編ではそれを店舗運営に反映をしていく段階へと進んでまいります。
獲得した市場に関する情報を、うまく店舗の売上向上につなげる大切なポイントとなってきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

3、商品企画・販売方法の決定
データの精査が進み、ターゲット層の「ベネフィット」傾向をつかむことができれば、次は店舗で提供する具体的な商品・サービスを何にするかの企画や、それをうまくアピールするための販売方法を決定する段階に入っていきます。
ここで肝心となってくるのは店長や運営者、さらにスタッフ全員の企画力で、ミーティングの開催で知恵を出し合い、ベネフィットにマッチした企画・販売法を考えていきましょう。

また、新商品や新サービスの採用だけでなく、既存商品の価格改定を思案するのも、マーケティングの1つです。
価格改定については、売れ行きの伸び悩んでいる商品の「価格下げる」という手法が一般的に良く見受けられますが、中小の店舗は価格競争で大きなチェーン店などにかなわないこともあります。
ただ、確かに「価格が安いから買う」というのも事実ですが、「ベネフィットにマッチしていれば高くても買う」というのも、お客様の心理です。
例えば他店より2倍、撥水効果が長持ちする「洗車」なら、多少高く価格設定がされていても、顧客は選んで購入をしてくれるはずです。
そして、そういった「強み」がある商品であれば、無理に価格競争に参加せずとも、自身をもって商品・サービスをアピールすることで、売上アップに繋がります。

さらに、アピールする時期も大切で上記した洗車の場合では、雨が続くことが予想される梅雨の前に重点商品に据えておくと、より効果的な販売促進が可能となります。
また、自店舗の商品やサービスに、価格競争を勝ち抜けるほどの「強み」がない場合は、「新たに生み出す工夫」が必要になってきます。
単純に、原材料の吟味や技術の習得による、商品・サービスの品質向上もその手段となりますが、
「○○選手愛用の飛ぶバット」
「うるおい効果○倍の人気保湿液」
「人気ブロガー□□さんも絶賛のラーメン」
といった具合に、商品・サービス自体をいじらなくても、POPなどで魅力的なキャッチコピーを追加するだけで、お客様のベネフィットを刺激することはできます。
ただし、ウソはNGなのは当然で、効果的なキャッチコピーを生み出すにはしっかりとした情報収集と、事実確認などが必要になってきます。

- 【ここがポイント!】
~「分かる」と「解る」は違う~ - 商品やサービスの企画を行う段階ににおいて、それを効率よく的確に実施するために知っておいていただきたいのが、「分かる」と「解る」の使い分けです。
「分かる」とは、「分類することができている」という意味であり、市場調査によって得た個人情報などの基礎データは、しっかりと「分類」し、その分布状況を目で確認できさえすれば、それを後のマーケティング戦略に生かすことが可能です。 - 具体的には、
- 子持ち世代が多い地域・・・子供向けの商品・サイドメニューラインナップの追加や、キッズスペース・おむつ交換台などの設置。
- ビジネスマン層が多く集う場所・・・手早く提供できる時短メニューや、クイックサービスの開発。
- 独身女性の多い地区・・・女性スタッフの拡充や、メイクスペースの充実などといった、女性目線に立った店舗作りと、おしゃれな小物・インスタ映えするメニューなどの追加販売。
- 年配層が多く住む町・・・落ち着いた店舗の雰囲気や、買い物の手間を減らす商品ラインナップの豊富さ。
などが、データの分類によって導き出せる「ベネフィット」にマッチするであろう、商品やサービスの設定と、店作りの方針になってきます。
- 一方、「解る」とは「分類」したデータを、自らの頭で解析できて初めて言える言葉であり、少々高レベルなマーケティングスキルが求められます。
ごくごく簡単な例を挙げると、
- ゴルフ場や練習場が近い・・・ゴルフ用品店の設置に適している。
- 海や川の近くである・・・遊泳用品店や釣り具用品店のオープンから、浮き輪・水着・ルアー・釣り餌など、簡易な関連商品のラインナップもアリ。
- 学校や病院が近隣にある。・・・酒類を提供する飲食店や、娯楽性の高い商品・サービス取り扱う店舗の立地としては不適格。
などといった具合に、単に個人情報を分類するだけでは見えてこない、周辺環境によるベネフィットとマッチした、効果的で成功しやすい店舗展開の立案もできるようになってきます。
店長や運営者の中で将来的に「多店舗展開」による、ビジネスの拡大も視野に入れている場合は、この「解る」のほうも普段から強く意識しておくといいでしょう。


4、来店客の反応・満足度の調査
お客様のベネフィットに沿った、効果的なマーケティング戦略が練れれば、マーケティングは完結するかと言えばそうではありません。
特に、これまでのマーケティングの成果がうまく出ていないケースでは、お客様の反応や満足度調査を行って、問題点があるなら再度戦略を練り直すことを検討しましょう。
満足度調査は、直接お客様に聞き込みをするのもいいですし、市場調査同様アンケートを利用するのも、再調査にもつながるので有効です。

また、最近では店舗の商品やサービスが、うまくベネフィットとマッチした場合フェイスブックでイイね!を付けてくれたり、インスタグラムに写真をアップしてくれるお客様もいます。
ですから、自分の店舗についての書き込みなどをまめにチェックして、次回以降のマーケティングの材料にするのもいいでしょう。

- 【ここがポイント!】
~反復的なマーケティングの必要性~ -
ここまで4段階にわたる、マーケティングの手順を解説してきましたが、市場は生き物のように常に変化し続けるものです。
例えば、同様の商品・サービスを提供する店舗が進出してきたり、新しい大型マンションなどが近隣にできれば、お客様の流れや年齢層・性別などの分布が、がらりと変わる可能性があります。
うまくいったにしろいかなかったにしろ、1度のマーケティングで十分かと言えば、そういう訳にはまいりません。再マーケティングには、時間と手間そして根気がいりますが、新規顧客の創設や流出防止に繋がってもいきますので、タイミングを見計らって反復して行うようにしましょう。

まとめ
前後編に渡り、マーケテイングの概要とその進め方についてお話してきましたが、重要性の高さからビジネス界では、様々なマーケティング手法が登場しては消えていきます。
当ミライ塾では、そんなマーケティング手法の中でも、現在採用されることも多い2つの手法について、次回から詳しく解説いたしますので、是非そちらもチェックしてみてください。
ここがまとめポイント!
- マーケティングは、「4つの段階」を踏んで、進めていかなければならない。
- 第1段階となる「市場調査」は、店舗の取扱商品・サービスに合わせた、調査範囲とタイミングで行う。
- 第2段階となる「データの精査」では、お客様のベネフィットを意識して、次段階での企画などがしやすいデータ分類をする。
- 第3弾段階である「戦術の決定」では、スタッフの知恵を結集し売りやすい商品・販売方法を企画する。
- 最終段階として、商品やサービスを購入してくれたお客様の満足度を把握し、反復的なマーケティングに生かしていく。
- 小テスト
以下のうち、今回の後編の内容と一致しないものを1つ選んで、クリックをしてください。 -
- 【正解】2:マーケティング戦略が功を奏し売上がアップすれば、お客様の満足度などを調査する必要は全くない。