店舗運営のAtoZ全31回
Lesson1 基礎編
2店長に求められるスキル~店舗運営に不可欠な4つのスキルを解説~未学習
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店舗運営の全般に携わる店長には一般スタッフとは違う、少々高レベルなスキルが求められます。
そこで今回は、店長が身に付けておくべき4つのスキルと、それを磨くための方法について、以下の項目の沿ってお伝えします。
- 店長の求められる4つのスキル
- マーケティングスキル
- コストコントロールスキル
- コミュニケーションスキル
- リスク回避・クレーム処理スキル
- まとめ

店長に求められる4つのスキルとは
皆さんは「スキル」と聞いて何を思い浮かべますか、なんだがカタカナにすると堅苦しく感じますが例えば、
- 走るのが早い。
- 力が他人より強い。
- たくさん食べられる。
- 人を笑わせることができる。
なんてものも立派なスキルです。
ただ、ビジネスシーンとなると話が変わり、飲食店や小売店の場合ですと、
- 遅刻、早退、欠勤をせず決められたシフトを守ることができる。→「自己管理スキル」
- 接客マナーを守りつつ、商品の説明をしっかりできる。→「接客・販売スキル」
- メニューをレシピ通り調理ができる。→「作業・調理スキル」
- レジ打ち、釣銭管理、在庫補充ができる。→「事務処理スキル」
などが求められてきます。

しかし上記は、「一般スタッフ」が身に付けておくべきスキルであり、ここから紹介する4つはそれを束ねる存在である店長に求められる、しかも「最低限」のスキルです。
1、マーケティングスキル~利益追求が最大の責務~
利益追求のために、「どうしたら店の売り上げをアップできるだろう?」という悩み・課題は、ほとんどの店長が常に抱えているはずです。
そして、より高い利益を上げるための手段を考えたり、売り上げ低下への打開案を打ち出すとき必要となるのが、この「マーケティングスキル」です。
極めて簡単に表現すると、マーケットが今どのような購買傾向を持っているのかを、つぶさに調査・分析できる能力が、このマーケティングスキルです。
そして大企業の場合、売上を左右するマーケティング調査に関して、独立した専門部署を置いていることも多くなります。
ですが、小規模な小売店や飲食店の場合、店長がそのすべて取り仕切らねばなければなりません。

ですので、マーケティングの動向を把握しつつ、
- 商品ラインナップ
- 販促・宣伝手段
- 価格の改定や商品ボリューム
などといった、マーケティングにのっとった具体策を思案、実施するスキルも求められます。
- 【ここがポイント!】~小さな工夫でもマーケティングを活かすことができる~
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FCチェーンのマネージャーや雇われ店長の場合、いくらマーケティングしてもそれを活かせないからと、投げ出しているケースもあります。
しかし、優れたマーケティングスキルを持っている店長は、与えられている権限・予算の中だけでも、しっかりとそれを発揮します。例えば、いつも決まった時間決まった位置に出している、販促用のぼりをこまめに変えるだけでも、「店前の通行人」という1つの小さなマーケットに、店としての意思表示ができます。
また、商品自体を変えなくても手作りのPOPを作成したり、レイアウトを変える事により新鮮味を与えるといった、予算が少なくて済むアクションを取ることも可能です。

2、コストコントロールスキル~絞るだけが能じゃない~
コスト削減、というキーワードは店長のみならず、一般スタッフにもいきわたっている、店舗を健全運営するための大原則です。
しかし、ここで伝えるコストコントロールスキルとは、単に経費削減をやみくもに行うだけではなく、
- 合理性
- 生産性
- 計画性
の高いコストであれば積極的にかけて、より高い利益を得る能力も含まれてきます。
例えば、店内照明や空調などの光熱費ですが、削減ばかりを訴えて店内環境が悪くなるとと、顧客満足度が低下して客足が遠のくこともあります。
また、非常に大きなコストとなる人件費についても、削減しすぎて人手が不足すると労働条件が粗悪になったりサービスが低下して、こちらも店舗経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 【ここがポイント!】~正しいマーケティングコストコントロールのカギ~
- コストコントロールスキルは、前述したマーティングスキルによる、適切な市場把握ができていないと、単なる「お金の無駄」になってしまう可能性があります。
特に、新商品の導入や開発にかかるコストについては、顕著にそれが現れてきます。

3、コミュニケーションスキル~内部・外部双方に気を配るべき~
一般スタッフとの円滑な情報交換ができると、日頃の店舗運営がうまくいくことは言うまでもありません。
日常的な会話からミーティング、成果が出たときの打ち上げまで、スタッフとのコミュニケーションを高める方法は数あります。
ですが、スタッフの愚痴をただ聞いているだけで適切な処置をできないと、何ら意味を成しません。
また、コミュニケーションといっても、単にスタッフとワイワイ楽しくなれ合うだけでなく、
- 運営方針のベクトルを合わせる
- 問題提起・意見の発言を促す
- モチベーションの向上を図る
などといった、店舗の発展に繋がっていくコミュニケーション向上の目的意識を、店長は常に持った状態でスタッフと接しましょう。

また、外部とのコミュニケーションとして、普段の接客で何気なくお客様から漏れて聞こえてくる、スタッフへの評価や細かい指摘にも、店長は常に耳を澄ませるべきです。
優れたサービス・商品に対する感謝の声から、不手際への厳しい指摘までさまざまですが、往々としてお叱りの声にこそ、店舗の財産となる意見が隠されています。
誰しもが、耳をふさぎたくなるところですが、店長である限り真摯に受け止め、店舗改善の手掛かりとして活かすようにしましょう。

さらに、店長ともなれば取引業者の担当者や、得意先とのコミュニケーションも必要となってきます。
この時、顧客はともかく出入りの業者に対して、少々ぞんざいな付き合い方をしているケースがあります。
そういった態度は、業界内で広まり店の悪評として、顧客に伝わる可能性を否定できません。
ですので、店長はいつも店の顔としての自覚を持ち、マナーを守った外部とのコミュニケーションを心がけましょう。
- 【ここがポイント!】~マイナス意見は改善した後公開する~類
- 飲食店や小売店に行くと、店への意見を来店客が寄せることができる、目安箱のようなものを目にすることがあるはずです。
お客様と店とをつなぐ、貴重なコミュニケーションツールの1つとして設置されていますが、寄せられた意見が来店した顧客も読めるように、一部公開されていることもあります。
もし、自分の店にも設置をし併せて公開したいときは、「良い意見」ばかりを並べると疑心を持たれ、逆効果になる時があります。
また、悪い評価を公開するときは、「客の声をないがしろにしている」と解釈されないようキチンと改善を図った後、公開に踏み切るよう心がけてください。

4、リスク回避・クレーム処理スキル~頼られる存在であるべき~
まっとうな店舗運営をしていても、店の危機となる自然災害や事故、顧客からの理不尽なクレームなどが発生することがあり、その回避と処理こそ店長最大の使命ともいえます。
まず、人命を左右しかねない地震や洪水、事故などが発生した時は店の利益はいったん忘れ、消防・警察などへの通報と来店客やスタッフの避難誘導を、店長は率先して行う必要があります。
いざという事態に自分が慌てないよう、しっかりとしたリスク回避意識を持っておくべきですし、店内に避難ルートや避難場所を張り出しておくなどして、いつ来るともしれないリスクに備えましょう。

また、商売をしている以上いかに店舗側が正しくとも、お客様からクレームを付けられてしまうことがあります。
店長は、そういったクレームに対して柔軟に、かつ穏便に処理をする能力が問われ、これを軽んじている方は店長を名乗る資格がない、とまで一般的には言われています。
もちろん、お客様の怒りを抑えつつ、店としての立場や利益も守るのは簡単なことではなく、少々場数を踏む必要があります。
ですが、少なくとも自らが矢面に立ち、スタッフと店舗を守る義務が店長にはあり、われ関せずとだんまりを決め込むような、責任逃れをする店長の指示に従うスタッフはいません。
- 【ここがポイント!】~事前の準備と自己啓発が必要~類
- 自然災害への備えや、事故防止・安全意識の向上は、店長が率先しつつスタッフへの周知・教育も必要です。
また、救命活動の講習を受講したり、事前に避難場所を視察しておくなどといった、自らのリスク回避スキルを高める行動も、店長には大切になってくるでしょう。クレーム処理スキルを高めるのは大変ですが、うまく処理ができると一気に店舗スタッフとのコミュニケーションが向上し、店のパフォーマンスが見違えるほど良くなることもあります。

まとめ
今回説明してきた4つのスキルは、1つ1つ高まっていくことで相乗効果が生まれ、店長としての職務がよりスムーズに実行できます。
すると、スタッフの動きもおのずとよくなり、利益を多く生む優秀な店舗へと育っていきいきます。
多忙な日常業務をこなしながらのスキルアップは大変ですが、当塾では具体的なケーススタディ記事も更新してまいりますので、一緒に明るい店舗のミライを築き上げていきましょう。
まとめポイント
- 市場調査能力とともに、それを具現化する能力も求められる。
- 適切なコストコントロールは、マーティングスキルがカギ。
- 内部はもちろん、店の顔として外部とのコミュニケーション向上も不可欠。
- いざというときのリスク回避と、クレーム処理は信頼性のアップにつながる。

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- 【正解】2:利益追求・向上のためには、コスト削減だけでなく効率良いお金の使い方も重要。